こんにちは!ひろ@マレーシア駐夫です。
皆さんは、実は現在“選択的夫婦別姓“が日本においてホットなテーマになっているのはご存知でしょうか?
現在、サイボウズ株式会社 代表取締社長 青野氏が、本問題を巡り、国を提訴しています。タイムリーなことに、私達夫婦も昨年この問題に大変苦しめられたこともあり、本動向に非常に注目するようになりました。
あくまで個人的見解ですが、本問題は今後の「本質的意味での先進国日本」を形作っていく上で、非常に大きな論点かと考えています。それでは以下より、考察していきたいと思います。
本問題考察の背景
政府は【1億総活躍社会】なるものを作るらしいです。
その心意気や良し!ですが、ではその活躍社会を実現するグランドデザインをどう作っていくのか?
これまでの日本は、男性のキャリア偏重であったことは否めません。実際に我々の親世代は、男性が夜遅くまで働き、女性が専業主婦であるというケースは非常に多いです。
しかしながら、これは高度経済成長期という国としての成長フェーズに依拠した方法論であり、経済の右肩上がり状態を前提としてワークする在り方です。
これからの世代はどうでしょうか?平成生まれの私達は、日本が好況であった時代を知りません。今後少子高齢化は益々進み、この人口減少社会(生産年齢人口の減少)でどう国としての経済を保つのか。
ポスト平成の時代を生きていくためには、これまでの常識であった価値観を再考し、根本的に成長戦略を見直さざるを得ないと考えます。
結論から言えば、男性だけが働き家庭を形成するという従来法は通用しなくなるでしょう。※男性側に圧倒的な収入がある、または女性側が既に資産家で労働する必要がないという特殊なケースなどを除きます。
我々夫婦もそうですが、今後日本で生活していく上で、夫婦で豊かな時間を過ごしていくことや、例えば子供を育てていくとして、質の高い教育を与えてあげるためには当然ながらお金が必要となります。
夫婦共働きのダブルエンジンのライフスタイルにシフトする時代が既に来ています。
上記前提に立脚して話しますが、要するに夫婦ダブルヒーローの物語を作っていく必要がある中で、この男女の平等性をどう担保していくかが、国が取るべき政策ではないかと考えています。
現制度の問題点
上記のように、これから男女問わず、個人が社会で活躍するために現状のある制度が大きな課題になります。それが夫婦同姓の原則です。
筆者は、現状の夫婦同姓の制度には「反対」の立場です。理由としては、①国民に選択権を与えておらず、多様性が損なわれていること、②経済的な非合理性が現に存在していること、の2点です。
こちらの法律が根拠です。
この法律によると、結婚した夫婦はどちらかの姓を名乗ることを国に強制されるわけです。有無を言わせないこの条文を皆さんはどう思われますか?家族は十把一絡げに同じ姓を名乗るべきだと思われますか?
筆者の率直な意見は「同じにしたければすれば良いし、別にしたければ別でいいんじゃない?」です。カップルの考え方は各々あるわけで、自分の名字にアイデンティティを感じている方もいるわけです。
名前(姓)を統一することによってしか絆は繋がれない!他の考えは認めない!という観念的な思想は、筆者は定性的で非論理的であると考えます。
ひろ
時代は変わり、世界的に女性の社会進出が進んできた中で、このままこの論点の議論を放置することで、日本が世界から取り残されることになるであろう最大のポイントに成り得ると考えております。
理由は単純明快。現代のカップルに不都合なことが多いからです。筆者達も、この制度で不都合を味わった例の一組です。詳細はこちらの記事をご覧ください。
駐夫、マレーシア渡航への道例えば、姓を変えるということは、以下のような名義変更手続きを強いられるわけです。Ex) 銀行、クレジットカード、パスポート、運転免許、携帯、ハンコ
これ喜んでやりたい!って方いらっしゃいますか?夫婦お互いがやりたくない!という場合でも、どちらかがやらなきゃいけないですよね?
統計的な事実(96%が妻が夫の姓を名乗る)として言えば、主に女性がこれを強いられるわけですよね。そして、この手続きのための相当なコストを国から強いられている状態なのです。
この状態、誰得なんでしょうか?
過渡期としての現在
当該問題は、国連からも再三是正勧告を受けている中で、日本は政府は慎重論の姿勢を貫いています。その中で冒頭で述べたように、現在サイボウズの青野社長が国を提訴しています。
ちなみに青野社長の姓青野は通称(旧姓)であり、本名は西端(にしばた)さんです。結婚する時に奥様の姓にされたのです。
最初はどちらでも良いとお考えになっていたようですが、これが後々とんでもない不利益をもたらすことになったとのこと。
先程民法750条の規定を述べましたが、これまでもこの条文が憲法違反だとして様々な訴えがありましたが、これは2015年に最高裁で合憲の判決が出ています。
ところが、今回の青野社長達のロジックは、こちらへ再び真っ向勝負ではなく、違う視点から法の欠缺を主張しています。
氏には「民法上の氏」と「戸籍法上の氏」の2種類があることを知る必要がある。民法は家族の権利関係などを決める実体法。それに対して戸籍法は、実体を戸籍という実務に投影させるための手続法だ。通常、「民法上の氏」と「戸籍法上の氏」は同じだが、異なる場合もある。代表的なのは、離婚後旧姓に戻らず、婚姻時の姓を名乗り続けるとき。
「離婚すれば、『民法上の氏』は必ず旧姓に戻ります。ただ、戸籍法に基づいて届け出れば、婚姻時の姓を『戸籍法上の氏』として使い続けられます。氏が変わると社会生活で不利益を被ることがあるので、そのケアとして戸籍法上に規定が設けられました」
▼こちらの記事が非常に分かりやすかったのでどうぞ▼
参考 なぜ日本人は結婚すると夫の姓を名乗るかPRESIDENT Online加えて、外国人と結婚するとき、民法上の氏と戸籍法上の氏を分けることは可能です。
つまりケースとして、日本人同士が結婚する場合のみ、戸籍法上の氏を選択できないことになります。これは法の欠缺に他ならないと言うのが今回の争点となります。
これは非常に良い着眼点だなと思いました。
合憲判決が出ている中、いきなり民法改正を再度主張するのは難しいので、その手続法である戸籍法の欠缺を指摘し、戸籍法上の氏(旧姓)に法的根拠をもたらす”修正パッチ”をあてる。これは確かにロジックが通っています。
通称でいいでしょ?と思ってる方。全然良くないんですよ。これは仮名ですから。公的な識別としては、必ず法的根拠である名前が必要となります。あれ、この人は◯◯さん(通称)だよな?でも文書では▲▲さんとなっている。どういうこと?
青野社長も海外出張時に、スタッフが青野という名前でホテルをブッキングしたけれども、現地で見せたパスポートが西端さんになっていたため、どういうことだ?ということがあったようです。こういうやり取りを一生涯続けていくのぞっとしませんか?
改めて申し上げますが、男性も女性も関係なく、個人が個人として活躍できる社会を目指す上で、個人が許容しない状態を無理矢理強制することは社会的実害に他なりません。
今の状態では、改姓によって大きなコストが発生してしまうような場合は、結婚(法律婚)をするほうが損。になってしまいますよね。
勿論事実婚も選択の一種なので、パートナーと相談した上でその選択をすることは周りがどうこう言う問題でもなく、尊重されるべきものですが、現在の法体系では、内縁の妻は法定相続人にはなれない等デメリットもあります(遺言の効力で分配することは可能)。
(2019/4/3_追記)
青野社長の裁判、東京地裁の第一審は敗訴という判決が出ました。控訴し、最高裁まで争う姿勢を見せています。
青野社長の動きにTwitter上でも様々な政治家の方がこの動きを支持しています。この結果を立法府でも真摯に受け止めて頂き、法改正の動きも併せて進むことを期待しています。
最後に
青野社長のこのお言葉にすべてが詰まっていると思います。
「日本の損失になっている」
旧姓を「通称」ではなく「戸籍上の姓」として日常生活で使うことを認めてほしい。煩雑な名義変更手続きや使い分けの混乱をなくしてほしい。夫婦別姓が選択できるようになるといい。
私が調べた限り、夫婦同姓の強要は、世界で日本だけであるという状況となっています。
夫婦同姓は伝統だから~と言う方。衣服や生活様式は、貴方はすべて日本古来の伝統様式で生活されていますか?恐らく違いますよね。
結局法律やルールというのは、その時点・その時代に最適化された成分法です。時代が変わった時に、その前時代の最適化論を強行しても、良い社会が生まれるとは思えません。
私は訴訟等に直接加わることは出来ませんが、近い将来、夫婦別姓が当たり前に選択でき、男女の社会での活躍に不毛なブレーキがかからない社会が醸成されていくことを切に望みます。
こういった発信という形で、1人1人が改めて社会の在り方について考える一助となれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!