生産性を高めるための会社をあてにしない、ボトムアップ「働き方改革」入門!

働き方改革

こんにちは!ひろ@マレーシア駐夫です。

世間では「働き方改革」というものがバズワードになっているように思いますが、言うほどこの動きがスケールしていないのは私の気のせいではないと思います。

個人的な見解で言えば、殆どの日本企業の「働き方改革」はベクトルが誤っています。周りの実例やインターネット上等のコラムを見ていても、殆どの日本企業の働き方改革の一丁目一番地政策は「労働時間の削減」になってしまっているように見受けられます。

しかし、労働時間の削減は”結果的に”生じるものです。働き方改革=労働時間の削減と捉えているうちは、これは改革ではありません。単なる手段の目的化です。

働き方改革は、文字通り「従来の働き方を変革する」ことです。そして、その生産性向上の結果として生まれるのが、労働時間の削減であるというロジックが重要です。

もちろん労働者の健康を担保するため、時間外労働の上限規制を設けることには意味があります。ただし、働き方が本質的にまったく変わっていないのに、世間の働き方改革キャンペーンを誤って解釈し、とりあえず残業時間削減目標を立ててしまうのは全くもってナンセンスなことです。

「組織がそうでないなら、変えれば良い」

これが筆者のポリシーです。トップダウンで自分の気持ちの良い働き方ができるような日を待つのは効率が悪いです。

今回は、私が実際に実践した事例をご紹介いたします。私は普段の業務からこれは無駄な時間を過ごしていると思う時間を分析していました。その結果大きく分けて改善点は以下3つであると仮定しました。

そして結果から申し上げると、ボトムアップで様々な方法を実践し、残業時間は約1/10程度にまで激減し、大きな成果を出すことができたと思っております。

なお、企業によって付加価値の生み方は異なりますので、共通点として「非付加価値時間の最小化」を目的に論じてまいります。あくまで私の働き方のケースですので、参考程度にお願いします。

ドキュメント探しの時間の短縮

ドキュメント

先ず一番無駄であると感じたのが「ドキュメントを探す時間」です。これに時間がかかっているということは、情報の「整理整頓」ができていないということですね。

問題

例えば、お客さんやカウンターパートである代理店から「この資料が欲しい」と言われた時に、どんな資料でも直ぐに出すことができるでしょうか?ビジネスの世界はスピードが命です。忙しいからと言って、これで日を跨いでしまうなんていうのは遅すぎるわけです 。

例えば営業マンが何人もいると、重要な情報が各々の営業マンのPC上にあったりなど、情報がブラックボックス化しているようなことはないでしょうか?◯◯さん、この資料持ってますか?という社内コミュニケーションコストが一番の無駄です。

解決例

クラウドのDBにすべての資料を纏めましょう。標準化されたプレゼンテーションファイル、営業的なホワイトペーパーや技術資料など、すべて一箇所に纏めます。なお大企業の場合、オンプレミス(自社運用型)のサーバーがあるかもしれませんが、仕様にもよりますが、AWS(アマゾンウェブサービス)や、クラウドサービスのビジネス版を検討するのも良いと思います。

社内で「クラウド」という言葉を出すと、拒否反応を示す層が一定数いるかもしれません。しかしながら、例えば前述のAWSは、アメリカではCIAですら使用しているサービスです。セキュリティに関してはお墨付きです。このあたりは、社内のITチームと相談したほうが良いと思います。

これにより情報の検索性が格段に向上し、瞬間的に目的の資料にリーチできるようになります。ファイル名だけではなく、ファイルの中の文字まで拾ってこられるので、情報が長時間見つからないということはなくなるのではないかと思います。

ひろ

こちらは応用編で、アクセス制限などITリテラシーが必要な部分ですが、他社用(代理店)のDBを構築すれば、例えばカタログPDFの問い合わせなどの初歩的な問い合わせがなくなります。これも生産性改善の一手でしょう。

会議

会議

次は会議に関してです。先ず会議の本質を考えてみてください。会議とは「何かを決める場」です。よって、必要最小限のメンバーで議題を設定して進行しなければなりません。

問題

こんな会議は社内で行われていないでしょうか?

Ex ) 必要ないメンバーまで大量に押し寄せる出来レースな進捗会議、会議のための会議、議題のない会議…

当然ですが、会議にもコストがかかっています。惰性の会議(大人数で、何も発せず、ただ聞いているだけのような会議)は無駄です。進捗会議のようなものは、社内で情報共有の仕組みがシステム化されていれば会議体でやる必要はありません。

解決例

これは無駄だなと思う会議のコストを計算しましょう。1人あたりの平均賃率、その会議の平均時間、人数を掛け合わせてみてください。そのコストを上回る意思決定がそこから生まれなければ、その会議は不必要ということです。

あとは、例えば営業所間の会議で、わざわざ高い交通費をかけてまで一箇所に集まるというケース。半期に一度くらいは良いかもしれませんが、今の時代Skypeなどで資料共有しながらクリアな音声でリモート会議することも可能です。これも移動コストにペイしない場合が多いです。

ひろ

数字は嘘をつきません。主観的で定性的な意見ではなく、客観的で定量的な指標が仕事では重要です。私の場合、会議コストをすべて算出し上に提出したことにより、会議のあり方が見直され、時間や頻度が変わりました。

従来システムの見直し

従来システム

コミュニケーションの在り方は、時代とともに変わります。メディアが多様化した現代では、この使い分けがとても重要になります。

少々余談となりますが、自社分析のフレームワークとして「VRIO分析」というものがあります。アルファベットのそれぞれが意味するのは、V=Value(価値)、R=Rarity(希少性)、Inimitability(模倣可能性)、O=Organization(組織)です。

これは自社をリソースベースドビューという観点で分析する手法であり、内在するリソース(経営資源)が競争力を持ちうるか?という考えだと思って頂ければと思います。

VRIO分析

出所:ferret ~VRIO分析のフレームワークを解説! 経営資源の競合優位性を紐解く4要素とは~

例えば、皆さんが現在業務でお使いのPCがあると思いますが、これは財としてのValueはありますが、Rarityはありませんよね?この状態を「競争均衡の源泉」と言いますが、つまりこういった財は持ち合わせていなければ、企業としての競争力を持てないということになります。

その経営資源に価値や希少性があり、他社から模倣できないほど完成度が高く、それを組織として活用できる仕組みがあるか?この一番典型的にわかりやすい例はディズニーのキャラクターです。ディズニーはいつの時代も老若男女に人気があり、著作権による保護期間はありますが、圧倒的経営資源ということができます。

模倣可能性にまでは話を広げませんが、自社内の働き方を見渡して、時代に合わないツール(資源)を使っているのであれば、それは自社内だけではなく、対他の企業という観点で競争力が削がれているということを考えなければなりません。

例えば、私は基本的に電話が好きではありません。緊急だと判断できない時や仕事が落ち着いている時以外は出ません。電話は基本的に相手の時間を一方的に奪うものと解釈しています。勿論慎重な意思決定が必要な場合など、電話が必要な場合もあります。ただ業務連絡のようなものを電話でする意味は全くないと考えています。

これは電話だけではなく、他のコミュニケーション手段(メールやチャット)があるにも関わらずということです。集中して仕事をしている時に電話に出ると、一度失った集中力が元に戻るのに20分以上かかるとも言われています。コミュニケーション(ツール)の使い分けができないと、確実に業務の生産性が落ちます。よって常に最適なコミュニケーションツールを選択するようにしましょう。

最近のトレンドとしては、対社外はEメール、対社内はビジネスチャットで運用しているケースが増えてきていると思います。使ったことがある方はお分かり頂けると思いますが、ビジネスチャットは、枕詞(お世話になっております等)も不要ですし、プロジェクト単位でチャットルームを形成するため、余計なCcも必要ありません。体感3倍は仕事のスピードが上がったように思います。個人的には、仕事速度の向上という意味ではこれが一番効果があったように思います。

レガシーなシステムで言うとFAXも同様で、基本的に対外的にも、ドキュメントはメールにPDF添付でお願いするようにしていました。営業で外に出ていると何日も帰らないこともあるので、営業担当がトリガーかけられず、初動が確実に遅れることもあります。PDFなら外部からスマホで確認できますし、外部からバックオフィスへの指示出しもできます。どうしてもFaxを使いたいと言う方には、処理が確実に遅れますのでご了承くださいと言うことを伝えます。

ボトムアップ働き方改革を実現するために

上述したような改革をすんなりと敢行できたわけではなく、組織においては現状を変えたくない人が大半ですので、非常に苦労しました。

私が意識したのは、①改革派の管理職を味方につけること。そして②協力者と小さく始めることの2つです。何の役職もない私が組織を直接的に変えるのは不可能です。ここで重要なのは「Noと言わせない提案をすること」です。私の例を以下に纏めましたのでご覧ください。

  • STEP.1
    管理職へ根回し
    管理職に相談しましょう。こんなツールがあるんですけど、従来より圧倒的に普段の業務効率が上がりそうです→若手何人かでちょっと下調べして良いですか?と相談。若手が組織を変えようとしてくれているのを無下にする上司はあまりいないと思っています。もし話もろくに聞かずに即否定するような人なら、貴方も即刻辞めることをオススメします(笑)
  • STEP.2
    若手の協力者と小さく始める
    若手の協力者を募りましょう。若手は比較的ITリテラシーがあると思いますので、こういう主体的な話には乗ってきてくれる人は多いのではないかと。導入プランとコスト、従来のワークフローと新ワークフロー、想定される立ち上げにおける課題、導入した場合の想定問答集等、すべてを洗い出します。そして数人で小さくトライアルしてみて、これはいける!と思ったら、資料に纏めましょう。
  • STEP.3
    会議体で報告
    会議体の議題の1つにしましょう。できるだけ権限を持っている方が同席する会議体が効果的。私は毎回「ひろさんからの業務改善提案」という感じでした(笑)STEP2で纏めたものを発表します。基本的に何か言ってくる人は必ずいますが、そういった想定されうる質問は必ず事前にシミューレーションしておきましょう。一通り質問が終わると「あれ、それだったら特に問題ないんじゃないか?(=NOとは言えない)」というような空気感が出来上がります。こうなると「ほな、やってみなはれや」という流れになりますので、自身が担当者となって進めることができます。

働き方改革の好例

残念だらけの日本の会社の働き方改革ですが、筆者の主観で、日系企業で素晴らしい働き方改革をしている例を2社ほど紹介します。

味の素

味の素の西井社長は、同社ブラジル法人の社長として赴任された時に、現地のブラジル人の効率的な時間の使い方に感銘を受け、それを逆輸入して改革に取り組まれたそうです。

私が味の素の改革を素晴らしいと思うのは「残業代を違う形で社員に還元する」ことを実現しているからです。先んじて基本給は1万円上がり、勤務時間の短縮(7時間15分勤務)で給与は同じ=実質的賃上げも行われているということ。

とにかく残業時間を減らせという論調で人が協力的に動くでしょうか?減らした残業代は会社にプールするのではなく、生産性向上の結果として社員に還元すべきです。この思想がない以上は、本質的な改革に非ず、働き方改革はうまく進まないでしょう。さすがは味の素の改革です。

▼以下の記事が参考になります▼

参考 働き方改革にかける社長の本気度 味の素が午後4時半終業に踏み切ったワケPRESIDENT WOMAN

カルビー

現在はRIZAPの在籍となってしまいましたが、当時の松本会長は私の最も尊敬する経営者の1人であり、ビジネスとは何か?経営者の仕事とは何か?を考えさせてくれるお手本のような方だと思っています。

フリーアドレス制、リモートワーク、女性の管理職比率など、どれを取っても一般的な日本企業よりも先進的です。特に女性管理職比率が、2017年で24.3%。本当に同じ日本企業かと筆者も驚きました。人の成長なくして、会社の成長なしという考えで、成果主義が根幹にありますね。成果のためにパフォーマンスを最大化できる環境を整えることが働き方改革の本当の姿であると考えさせてくれる非常に良い例です。

▼以下の記事が参考になります▼

参考 成果(製菓)主義こそライフワークバランスをかなえる鍵!? カルビー流働き方改革furikake by doda

この2社から言えること、そして味の素の西井社長のお言葉をお借りすると、この言葉に尽きると思います。

“魅力的な会社にしないと優秀な人材は集まらない”

そういう時代になっています。間違った働き方改革をしている企業からは、優秀な人材の流出は止まらず衰退していくことになるでしょう。ダイバーシティの力を信じ、本質的な改革を行う組織にこそ未来がありますし、そういった会社が増え、そういった環境で働く日本人が増えていくことで、日本全体の生産性が上がっていくものだと私は考えています。


組織運営が惰性化してくると無駄も増えてきますが、客観的な指標で上申しましょう!非付加価値時間を最小化し、付加価値時間に集中できる環境を作ることができれば、貴方も会社もウィン・ウィンなはず。

最後まで読んで頂きありがとうございました!