私が【駐夫】になった理由とは?

マーケティングは「仕組みづくり」。海外営業と事業開発で学んだマーケティングの本質

マーケティングは仕組み作り

こんにちは!ひろ@マレーシア駐夫です。

筆者は、入社してから「海外営業」→そして異動後は新規事業にて「事業開発」の仕事をしてきましたが、この2つにおいて共通して求められるのが「マーケティング」です。

日本においては、会社のエース=凄腕営業マンと思われがちですが、一流の営業マンが即海外営業や事業開発の仕事で活躍することができるか?というと、そうではありません。

ひろ

では、どんな人材が活躍できるのか?本稿は、BtoBマーケティングにおける筆者の見解を纏めました!

マーケティングとは?

マーケティング

先ず、マーケティングという言葉の共通の定義を持ちたいのですが、Wikipediaによると、マーケティングという言葉を以下の文章で説明しています。

マーケティング: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

出所:Wikipedia

分かるような…分からないような…

私も入社当時マーケティングの仕事というものがいまいち分からず、市場調査をしている人がそう呼ばれていたりしたので、市場を調べて売れそうな製品を纏め上げる人がそうなのかな?と思っていました。

しかし結果から言えば、これは「半分正解、半分不正解」でした。これらはマーケティング活動の一環ではあっても、本質的なマーケティングとは異なるものでした。

当時悩める社会人の私が、ある本を読んでいたときに、そこで紹介されていた経営の神様こと「ドラッカー」の次の一言に稲妻が走りました。

“マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。”

シンプルにして、一言でマーケティングの本質を捉える言葉だと直感しました。

ひろ

経営の神様の言葉は、重みが違いますね…!

会社には必ず営業部隊がおり、彼らが自社の商品を顧客へ提案して受注に繋げます。しかし、例えば同様のものを作っていても最終的な営業利益が同業者で大きく違うことがあります。

上記の言葉通り、企業として究極の理想は「営業人員がゼロで全く営業活動をしなくても売り上げることができる状態」です。しかしながら、現実ではその実現は殆ど無理でしょう。

しかし、人海戦術で仕掛ける営業だけではなく、現在の営業活動の効率を最大化し、従来以上の利益を獲得する戦略を立てることができます。

マーケティングは、もう少し現場サイドの人間から言語化すれば「売れる仕組み作り」ということができます。

メモ
日本の企業の社長は、「営業」出身が多い傾向にあるのですが、アメリカは「マーケティング」出身が社長になることが多いです。

特にアメリカは国土が広いため、販促コストを低減するための仕組み作りをしなければ生き残ることができません。これがアメリカがマーケティング大国である所以となります。

海外営業と事業開発におけるマーケティング

事業開発

私は海外営業と新規事業にて事業開発の仕事をしてきましたが、この両方に共通する重要なこと。

それは「仕組み作り」です。

海外営業の仕事について詳しく知りたい方は、以下記事をご覧ください!

ご参考に!

拝啓 就活生様 ~新卒から海外営業なんてやめたほうが良いよ~

海外営業と事業開発のマーケティング

海外営業も事業開発も「ビジネスを作る」ことが仕事です。

勿論自分が営業提案をして販売するということも仕事の一環ではありますが、それ以上に「事業コストにペイする売上を担保するチームを作ること」が最大の目的です。

例えば、海外営業という仕事は「間接営業」になります。ワールドワイドのオペレーション部隊であり、ローカルの販社が自身の力で営業活動を楽に完結できれば、それが最も理想的な形となります。

日本企業が、海外市場において成功できない要因の1つは、販社や代理店の「ローカライズ」の仕組み作りを怠っているからです。

ひろ

つまり、本社やローカルの特定の営業マンにしか売れない属人的な組織ではなく、誰が担当しても売ることができる環境を確立することこそが間接営業の本質です。

現地の人材を教育→ローカライズして販売に繋げるための販売戦略を持ち合わせていないのに、HQ(日本)の理屈を現地に押し付けてはいないでしょうか?

日本の察する文化は海外では通用しませんし、これを押し付けようとする考えも間違っています。筆者が考える海外営業に必要なことは以下通りです。

海外営業に必要なこと

  • 現地の文化や商習慣を尊重できること
  • (販社や代理店が)自社の製品を売ることでどんなベネフィットやインセンティブがあるのかを設計すること
  • 現地での販売をサポートするために、此方から何を提供することができるかを明確にすること

勿論契約書で定義することも多いのですが、紳士協定(Gentleman’s agreement)で信頼関係を築くことも重要です。

その販売活動を通して、お互いが幸せになれるパートナーシップを築くこと。これが仕組み作りであり、海外営業の本質的な仕事だと考えています。

一方、事業開発についての話ですが、私が新規事業に異動した初日に衝撃を受けたことを覚えています。

ひろ

え、売るためのシステムが何もない…。荒れ果てた荒野みたいだな…。

これまで自分がいかに出来上がった環境の中で、先人達の築いた仕組みの上で仕事をしていたかを痛感しました。事業開発においては「売るための状態を作る仕組み作り」も必要でした。

海外販売のチャネルもないので、これも1から作り上げる必要がありました。新規事業は潤沢なリソースや画期的な商品のラインナップがあるわけではありません。

したがって、今後のロードマップやビジョンを示すことで、市場を共創しようというアプローチが必要でした。これも現地でのパートナーとの仕組み作りということができます。

日本企業は、現在多くの場面で苦境に立たされています。これは、現代の激しい変化が起こる事業環境において、良いモノを製造技術で安く作るというようなプロダクト・アウトのビジネスモデルが通用しなくなってきているということだと思います。

マーケティング3.0へ

では、これからの日本企業が目指す方向性はどうなるのか?

以下の図をご覧ください。マーケティングの神様と言われる、フィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング3.0」という概念です。

マーケティング3.0

出所:「マーケティング3.0」と広告コミュニケーション

マーケティング3.0は、簡単に言えば「世界をより良い場所にする」というテーマを掲げた社会志向のマーケティング活動になります。

貴方の所属している会社は、どこに当てはまるでしょうか?これは私の個人的な見解ですが、日本企業の殆どは「マーケティング2.0」で進化が止まっていると感じています。

メモ
補足すると、マーケティング1.0=大量生産・安価で製品を展開する製品中心のマーケティング、マーケティング2.0=多品種・小ロットでの生産など柔軟な市場対応を目指した消費者志向のマーケティングです。

では、マーケティング3.0を可能にしたものは何か?これは新しいメディアであるSNSの登場です。

これまでも主婦の口コミなど個人間によるローカルな波及効果などはあったと思いますが、それがオンラインになり、規模がグローバルとなりました。

有益な情報はSNS上でシェアされることでトレンドとなり、消費者の実際の購買行動へ移行します。企業はオンライン上で有益な情報を提供することで差別化がしやすくなり、ここでファンを獲得したり、企業としてのメッセージを世界に発信することもできます。

ひろ

最近は日本の企業もFacebookページ、Twitterアカウント、LINEアカウントなどを持ち情報発信をしています。企業と消費者の関係がソーシャルになり、インタラクティブなコミュニケーションが可能になりましたね!

築き上げたオウンドメディアやソーシャルメディアで、世界中のファン達に企業としてのミッション・提供する価値を明確にアピールすることでブランドイメージを確立すること。こういったマーケティング戦略が非常に重要になっています。

消費者行動の変化

消費者行動の変化

上の図は、「Moment of truth(真実の瞬間)」という概念を図示したものです。

真実の瞬間とは、企業の顧客とのサービス上の接点であり、その僅かな時間で顧客はサービスの質を判断し、購買行動を決定づけるというもの。

消費者は、最初の真実の瞬間(First moment of truth:以下FMOT)である店頭に陳列されている商品を見て、3~7秒で購買の意思決定を下し、家に持ち帰っての体験(Second moment of truth)によって再購買の意思決定をします。

P&Gはこのインストアプロモーションを戦略的に実施し、成功をおさめました。しかし、ある技術の台頭でこの成功の方程式とも呼べる図式が変化してきました。それはインターネットです。

今やインターネットは誰もが使うテクノロジーとなりました。これは、パソコン、スマホ、タブレットなどのデバイスがコモディティ化してきたため、インターネットが完全に一般市民まで普及してきました。

その結果、誰でも簡単にインターネットで情報検索ができるようになりました。特に若い方はそうだと思いますが、何かが欲しいとなった場合、先ずはネットで検索をしませんか?

例えば、私は本を購入する時に、Amazonのレビューを必ず見ています。以下のような感じで大体の評価は判断できますよね。

この本の評価
読みやすさ
(3.5)
面白さ
(4.0)
デザインの美しさ
(5.0)
値段
(2.0)
コレクション性
(1.5)
総合評価
(4.5)

既存のFMOTより先に、消費者が情報を得ることができるポイント(企業と顧客の接点)がインターネット上に現れたということです。これが「Zero moment of truth」(以下ZMOT)というGoogleが提唱した概念です。

つまり消費者が実際に店頭に辿り着く頃には、既に消費者は情報を自分なりに調べてきていることが多いということになります。

コンテンツマーケティング

上記からも分かるように、消費者は企業のウェブサイトを調べに来る傾向にありますので、会社のウェブサイトのコンテンツがスカスカであれば間違いなくネガティブなイメージを与えることになるでしょう。

我々は「コンテンツマーケティング」によって潜在顧客へ有益な情報をウェブサイトから提供し、この製品を使えば自分の生活や仕事はこれくらい便利になりそうだな!と潜在顧客に想起させることがマーケティング手法として非常に重要になってきました。

ウェブサイトのコンテンツの充実、SEO対策など訪問者を増加させていく動線作りと、そこから得られるデータを分析し、マーケティングや営業活動にフィードバックする必要があります。

コンテンツマーケティング

これは実際の営業活動にも大きな変容をもたらすと考えられます。

前述した通り、潜在顧客はウェブサイトを見にくることが多いので、そこに充実したコンテンツがあれば、いわば「予習」ができます。勉強もそうですが、予習ありで授業に臨むほうが記憶に定着しますよね。

コンテンツマーケティング効果

こういった仕組みの上に、*SFAや*CRMのシステムを組み合わせることで、各営業プロセスを合理化していくことや、綿密な顧客との対応状況の管理(商談管理)を行うことができます。

*CRM=Customer relationship management
*SFA=Sales force automation

参考 《図解》SFAとCRMの違いとは?あなたに必要なのは「営業支援」それとも「顧客管理」?データのじかん

先ずはオウンドメディア(ウェブサイト)を充実化させ、顧客へ有益な状況を提供するプラットフォームを作る。そして、その活動をよりソーシャルにするメディアとして、ソーシャルメディアを使っていくことで多くの潜在顧客層とのコミュニケーションの間口を広げることにつなげていく。そういった価値発信をしていかなければなりません。

1つの好例をご紹介しますと、かまぼこの老舗の「鈴廣かまぼこ」は創業150周年を超える企業ですが、社是は「老舗にあって、老舗にあらず」。

ウェブサイトでのコンテンツマーケティングで、かまぼこのいろはであったり、かまぼこの調理方法などをブログ形式で発信しています。

老舗であるという立場に奢らず、現代の消費者に向けてもかまぼこの価値を発信しており、非常に良いコンテンツマーケティングの例であると思います。

参考 鈴廣ブログ かまぼこ屋のおいしい話小田原鈴廣オンラインショップ

勿論日本企業の製品力は非常に高いことも理解していますが、いくら良いものを作っても、それが市場に認知されなければ意味がありません。その方法論は着々と変化しており、時代が明らかにパラダイム・シフトで変化しているのにも関わらず、20-30年前と変わらないやり方をしていても大きなリターンはありません。

従来通りの展示会依存マーケティング、営業マンが人海戦術で頑張り続けるプッシュ型の施策一辺倒ではなく、本質的な価値をインターネット上で発信し、ブランドロイヤリティを作り上げていくプル型のマーケティング活動をすることが今後の日本企業の成否を分ける1つのポイントであると思っています。

売れる仕組み作り(マーケティング)、考えてみませんか?


自社のマーケティング戦略を練り直し、プル型のマーケティング・営業戦略を目指していきましょう!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!