私が【駐夫】になった理由とは?

【書評】今後のリーダーの在り方について ~実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた~を読んで

今後のリーダーの在り方

こんにちは!ひろ@マレーシア駐夫です。

今回は、橋下徹氏(前大阪府知事)の「実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた」を拝読いたしました。

注意
本稿は、上記著書を参考に、これまでの自身のキャリアと照らし合わせ、これからの「リーダーシップ」について考察したものです。内容すべてが著書を表すものではございません。

リーダーの仕事とは?

リーダーの仕事

みなさんは、組織において若手であったり、あるいは組織を率いるマネージャーであるかもしれませんね。

それでは「リーダー」とは、組織において具体的に何をする立場の人間なのでしょうか?本書においては、明瞭にこう記されています。

リーダーの役割は「部下ができないこと」をやり遂げること。

アンゾフの意思決定論によると、意思決定は次の3つに大別されます。

意思決定の種類

  • 戦略的意思決定(トップマネジメント)

  • 管理的意思決定(ミドルマネジメント)

  • 業務的意思決定(ロワーマネジメント)

トップマネジメント、ミドルマネジメント、ロワーマネジメントで意思決定の種類が違うということです。

端的に言うのであれば、トップマネジメント=経営者は、会社の行末を左右する「戦略的意思決定」を行わなければなりません。

都度会議に口出しをしたり、部下に必要のない資料を何度も提出させるようなマイクロマネジメントではなく、会社の*ドメインを適切に定義し、部下が行うことができない「ビジョンを示すこと」「そのビジョンに沿った意思決定をすること」で組織をドライブすることが仕事になります。

メモ
ドメインとは、企業がビジネスを展開する領域のことを指します。これを適切に定義することで経営資源をフォーカスさせ、無駄のない事業運営やマーケティングが可能になります。

組織の人間関係

PM理論というフレームワークがあります。

PM理論

出所:生き方・働き方を模索する人のWEBマガジン モチラボ_PM理論【ざっくり1分】まとめ

組織のリーダーをP(パフォーマンス)とM(メンテナンス)の2軸に分け、計4象限で考えますが、パフォーマンスとメンテナンス、どちらも能力が高いことが最も望ましいリーダーの条件ではありますが、みなさんの組織にはこんな人はいませんか?

人は良いんだけど、仕事はなぁ(逆も然り)

これは上記図で言うところの、pMです。

これは賛否両論分かれる意見ではあると思いますが、会社上の人間関係というのは、例え同じ会社の人間であろうと「利害関係上の付き合い」に他なりません。

つまり、ビジネスにおいて共通の結果を追い求める「同志」であって、仲良くすることが目的ではありません(結果的に仲が良ければそれに越したことはありませんが)。

先ずはみんなに気に入られる良い上司であろう!そうすればチームワークが良くなり、業績も伸びるだろう!というのは組織内のモチベーション維持としては、必ずしも正しくはありません。

これは筆者もその通りであると思いますが、

組織のリーダーに必要なものは、友人関係のような人間関係ではなく、「仕事をやり遂げた」ことへの信頼関係。

だと考えています。

先ずは、仕事で結果を出すために全力でコミットすること。これがリーダーの最優先プライオリティだと考えます。

仕事で結果を出すことを前提としたPM型リーダーを目指しましょう。

決められない組織からの脱却

日本の多くの大企業は、「官僚性の逆機能」という状態に陥っていると思います。以下のような特徴、あなたの組織に当てはまりませんか?

  1. 規則万能(例: 規則に無いから出来ないという杓子定規の対応)
  2. 責任回避・自己保身(事なかれ主義)
  3. 秘密主義
  4. 前例主義による保守的傾向
  5. 画一的傾向
  6. 権威主義的傾向(例: 役所窓口などでの冷淡で横柄な対応)
  7. 繁文縟礼(はんぶんじょくれい)(例: 膨大な処理済文書の保管を専門とする部署が存在すること)
  8. セクショナリズム(例: 縦割り政治、専門外管轄外の業務を避けようとするなどの閉鎖的傾向)

出所:Wikipedia

リーダーが革新を起こそうと思っても、必ず「変化を望まない層」というのは存在します。

もちろん組織なので、色々な考えの人がいて当然なのですが、文字通り全員の同意を得てから改革を行うというのは、まったく現実的ではありません。

組織運営において所属メンバー全員の意見を取り入れて〜というのは、一見正しいようにも思えますが、これでは迅速な意思決定の速度を担保できません。

本書において、私が感銘を受けたのが以下のポイントです。

組織が猛反対する案については、組織に言いたいことを思う存分言わせる。ただし、決定権と責任の所在をはっきりさせて、最後は従う。

組織のモチベーションを維持するために、先ずは意見を表明する機会を与えることで、「機会の平等」を満たします。

これで不満をある程度和らげることができるだけではなく、そのまま進行していれば行き過ぎだった案も吟味されてマイルドになり、最終的には良きアウトプットになることも多いのではないでしょうか。

意見は思いきり出させる。それを総合化して最後はマネジメントがズバっと決める!これが組織の長に求められる意思決定だと思います。

そして、その意思決定を担保するために、役職が上に行くほどに「勉強」しなければならないと思います。知識は勿論のこと、新聞や雑誌などで世の中のトレンドをウォッチしておかなければ、自身の成功体験のみが判断軸となり、非常に危険な賭けとなる可能性があります。

筆者の私も、まったく畑違いの分野の製品のマーケティング担当になったことがありますが、例えば、現場の一線で働いている方々は所謂博士号の方達ばかり。当然知識では勝てるはずがありません。

ただ、話の流れを把握することができる、何が本質的な問題点か?を見極めることができる=コンセプチュアルスキルというものが必要です。

「決める」ために必要な知識は、担当者に丸投げするのではなく自分で取得しに行かなければ、良質な意思決定などできるはずがないのです。

参考 マネジメント・管理職に求められるスキル日本最大のHRネットワーク『日本の人事部』

組織をワークさせる

マネジメント

私が常々キャリアの中で意識してきたことは、「組織の仕組みづくり」です。

特定の誰かしか担当できない業務が散見される…これは組織ではなく、個人事業主の集合体であり、非常に脆い組織です。

このあたりの話は以前書いた投稿に私の考えを纏めてありますので、よろしければこちらをどうぞ。

マーケティングは仕組み作りマーケティングは「仕組みづくり」。海外営業と事業開発で学んだマーケティングの本質

明確なビジョンを示す

私が世の中のサラリーマンを見ていて感じるのは、みんな「内」を見て仕事をしているということです。

「誰々がこう言ったから〜」というような責任転嫁の応酬。これで仕事をしていて楽しいでしょうか?

我々は組織の論理ファーストではなく、マーケットファーストであるべきです。マーケットが何を求めるか?を念頭に仕事をする=「外」を見て仕事をしなければ、良い仕事はできないと考えています。

勿論そのために必要な社内調整を疎かにすべきではなく、あくまで「考え方」の問題です。

では、何がこういったサラリーマン病を誘発してしまうのか?私は「ビジョンがない」ことが一番大きな原因だと考えます。

ベンチャー企業には明確なビジョンがあります。それが組織が大きくなるにつれて、いつしかそういった社会的使命を忘れ、上記で書いたような「官僚性の逆機能」に陥り、ルールを守ることが仕事だと勘違いしてしまうのです。

これを打破するには、マネジメントが強烈なビジョンを上意下達で提示し続けることが一つの解であると思います。我々は何のために仕事をするのか?社会の何を変えるべく取り組むのか?こういった意識を組織内に醸成することが、「組織づくり」の第一歩であると考えます。

臨機応変な組織体制

上記でPM理論というリーダーシップ理論を紹介いたしましたが、事業運営においては定性的な属性のみでなく、その時々において求められる判断が変化します。

つまり臨機応変なリーダーシップが求められるということです。このような場合のリーダーシップのフレームワークとして、SL理論(Situational Leadership theory)があります。

SL理論

出所:EARTHSHIP CONSULTING_SL理論(状況対応型リーダーシップ) Situational Leadership

簡単に説明すると、部下の成熟度合いによって上司が取るべきリーダーシップは異なるということになります。

例えば、新入社員のような発達度が低い社員には「指示型」のリーダーシップが有効となりますし、段階的に導いていくことによって、「委任型」のリーダーシップ、すなわち権限移譲を図っていくことが組織のフレキシビリティを高めることに繋がります。

メモ
私が以前拝聴したある有名な経営者の方の講演会で新たにマネジメントになることを対象にしたものがありました。そこで仰っていたのは、ビジネスの世界においてプレイヤーに干渉するプレイングマネージャーなどは有り得ず、マネージャーの仕事は「球拾い」であるということでした。

つまり、面倒な仕事を率先して自分がこなし、プレイヤーを気持ち良く働かせる(権限移譲する)ことができる組織を作ることがマネージャーの成すべきことだというテーマに感銘を受けました。

プランに絶対はない

これは私も日常業務の中で意識しており、本書の中で言語化できた考えの一つを紹介します。

トップは「比較優位」で考えている。

シンプルですが、この考えがなければ、マネジメントは務まらないと思います。

上述したように、マネジメントの仕事は「決める」ことですが、下から上がってきたプランは、その時点では「精査された未来予想図」に過ぎません。

どちらの案が絶対ということはないのですが、ここで駄目マネジメントの典型例は、粗探しを始めることです。パーフェクトなプランにするまで駄目だ!と稟議をハネるのです。

これを繰り返すと現場はどうでしょうか?些細な問題点の修正に資料を作り直したりなど膨大な時間を使用することになります。気持ちよく仕事ができるでしょうか?

この時に重要なのが「比較優位」の思考です。完璧なものなどないことを前提に「どちらがましか」で選ぶのです。言うなれば、政治家への投票と似たようなものです(笑)

私も提案の際には、今の状態のワークフローと改善後のワークフローを示し、組織に与えるベネフィット面を強調します。

今の状態より「まし」になることが見えているのであれば、とりあえずやってみる。やって見る中で気づきを得られ、より良い改善策が生まれるかもしれない。

事業運営において、最も無駄なものは「決めないことによる機会損失」に他なりません。提案する側も提案される側も、この比較優位の思考を持つことがワークする組織を作る上で非常に重要であると考えてみませんか?


リーダーは良くも悪くも組織を司るもの。リーダーの心がけ・対応次第で組織は大きく羽ばたくことができます!良きリーダーを目指し、日々の研鑽に励みましょう。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!